スナックキズツキ

2021年12月29日 2021年12月29日

さくら便り

テレビ東京ドラマ24「スナックキズツキ」が終了した。
「孤独のグルメ」繋がりで視み始めたら、これがとてもよかった。

スナックなのにアルコールを置かない店。
ピンクの電話やラジカセ、ブラウン管のカラオケ装置に囲まれた、昭和の香り漂う、路地裏地下の小さなスナック。

壁に沁みついた匂いまでかげそうな、店内が心地よい。
客のオーダーに手作りで応える、トウコのドリンク一つ一つが心地よい。

50を超えた原田知世が醸かもす、彼女固有の演技が心地よい。
なぜこの人がスナックのママなのか、不可思議な設定が心地よい。

カウンター一つで隔てられた、客とトウコ。
前者には日常の物語があり、後者の背景は知らされぬままの非日常空間。

この間合いこそ、ドラマの白眉はくびだったように思う。
故ゆえにトウコの過去が赤裸々となる最終回は、残念というか少し辛かった。

人はすべてを知るのが幸せと限らない。
菩薩ぼさつのような複雑な笑み一つで、言葉で語らずすべてを伝えてくれれば、それでよかったのに。

とはいっても、いまから続編を期待している。
仕切り直して間合いのドラマを、再び綴つづっていってほしい。

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