一杯のコーヒーから
勤めていた頃のお昼は、圧倒的に外食だった。
行く店もたいがい決まっていて、頼むメニューもほぼ一緒。ワタシ一度気にいると、それ以外食べないのね。
たとえば地元の洋食屋に入ったとき、ランチは必ずナポリタン。
小田原の定食屋では野菜炒め定食、三島のメガ盛り中華屋だと(通常の2倍以上ある)チャーハン、といった具合だ。
会社を辞めて1年以上経つ現在。その間、外食は数えるほどしかしていない。
商談か、たまに会う家族と一緒の時か、出掛けて遅くなり、帰ってから作るのが面倒くさい日くらいか。
もちろんコストをかけないのが最大の理由だが、いったん習慣が途絶えてしまうと、「あの店に行きたい」とは全く思わないのだ。
取引先にホテルや旅館が多く、けっこうお高い料理も食べてきたけど、「あれ、また食べたいなぁ」などと、まったく食指が動かない。
食に限らず、いろいろ欲が減衰している。これっていいことなのか、単に老いたという事か。
偏食というわけでもないと思うが、家でも一度ハマると飽きるまで、毎日同じものを摂る。
いまだと、カルビーのフルーツグラノーラ800gのお徳用。これに牛乳をかけて、朝食というか遅い昼食までの、中間あたりの時間に食している。
その前は玄米と塩鮭、刻みネギ入り納豆に、味噌汁ばかりを毎日いただいていた。
シンプルなようで、妻がネットで購入する玄米は新潟産無農薬の最高級品だから、中々に贅沢な食事だ。
相手の健康管理が理由だから口は挟まず、無駄を出さないようにだけ気を付けている。
妻は僕よりおかずにこだわりがなく、そもそも食が細いから、夜に一食だけという日も珍しくない。
それに刺身は好きだが、肉もジャンクフードも一切うけつけないから、僕の好みとはかなり異なる。
こっちはハウスのジャワカレーやサッポロ一番塩ラーメンなどが大好物で、アレンジを加えながら自分用に作る。
カレーは一度作ると連続4回、いちいちメニューを考えなくていいし、1ヵ月1回の割合でなぜか飽きない。ルーはS&Bと、交互には作っているが。
カツを揚げるときは必ず2枚。夜はそのままキャベツとトマトを添えて、翌日はかつ丼にして食べている。
我ながら、出汁がうまい。考えてみればみりんも醤油も日本酒も、塩も砂糖も調味料はそれなりの高級品だから、おいしくて当たり前かもしれない。
ラーメンやカレーには必ず国産ニンニクを2~3欠け刻んで炒めるが、JAふれっぴーのネット入りを買うと格安である。
今や買い物も主婦感覚だ。この野菜はどこの店、ティッシュ5箱ならこの店が最も安いと、ちゃんと頭に入っている。
ちなみにコーヒーは自家焙煎だ。
生豆500g程度(約1週間分)を焙煎機に入れ、コンロで30分火にかけて作る。ヒマじゃなきゃ、とても出来ない芸当である。
フィルターに挽きたてのコーヒーを淹れ、お湯を注ぐ。
シュワシュワシュワ~と膨張する姿と薫りは、並みの専門店でも味わえないリッチなクオリティだ。
これとて、生豆10㎏まとめ買いで6,000円程度。毎日5杯分作り半年経ってもまだ余る。コスパ最高である。
最安値にして最大限の効果を目指す。僕の消費と事業において、数少ないポリシーと言えるかもしれない。自慢にはならんが。