名残の歌

気づけば青田ケンイチ(青ケン)が突然この世を去ってから、もう3ヶ月以上経っている。
元気だったら今頃、スタートして数ヶ月の共同事業がだいぶ進展していたんじゃないか。

週に1回、原則として金曜日の夜、彼のスタジオを訪れる計画だった。
その場でレコーディングと録画を行い、YouTubeに専用チャンネルを作ってはアップしていく。もし順調に行けば20〜30本程度が、すでに形になっていたはず。
彼の歌を皮切りに、地元ミュージシャンや歌自慢素人しろうとさんの表現の場にしようと、僕らは目論もくろんでいた。

あれからカメラや小道具も増えたし、基本的な技術も多少は向上してきた。今ならもっと、完成度高いものにする自信があるんだが。
なんて、悔やんでも致し方ない事だ。

逝去せいきょしてまもなく、この世で認知されたと言いがたい彼の歌が、人材会社のCMソングとして、関東の地上波で流れることになった。

【プレスリリース配信】離婚届をきっかけに転職! 実話をベースにした筋書きのないドラマCMをリリース。 新CM第一弾「私は会社のために働かない」を8/21に放送。
社会に広くディーセントワークを認知してもらうために、CM放送を決定。 その第1弾として「私は会社のために働かない」を2021年8月21日(土)から放映致しました。

離婚届をきっかけに転職!実話をベースにした筋書きのないドラマCMをリリース。新CM第一弾「私は会社のために働かない」を8/21に放送。 | 株式会社ディーセントワークのプレスリリース

株式会社ディーセントワークのプレスリリース(2021年8月23日 16時00分)離婚届をきっかけに転職!実話をベースにした筋書きのないドラマCMをリリース。新CM第一弾「私は…

彼と親しかった人から僕のTwitterにお知らせが来て、「よかったな、青ケン」って、その時つぶやいたっけ。
どういう経緯からかは知らないけれど、無数にある楽曲から彼を選んだ第三者のいてくれたことが、とても嬉しかった。
「BACK HOME」。彼が発表した最後のCDのタイトル曲で、この作品集のオープニングナンバーでもある。

今はUSBに落として、移動中の車の中でときおり聴いている。
どれも質の高いポップで、BGMのように素通りしていくわけじゃないけど、耳にとても馴染む。

去年の暮れから、彼を介して地元ミュージシャンの作品に触れる機会が増えた。でも、一定の水準に達していると思われる存在は、意外に少ない。
好き嫌い以前に、技術的だったり表現力の未熟さのところでつまずいてしまう人が、残念ながらほとんどだ。
表現の稚拙ちせつが邪魔してその人の世界にひたれないポイントこそ、プロとセミプロを分ける境界線なのかもしれない。
ともかく青ケンは、持って生まれた声のパワーにとても恵まれていた。
彼は、プロだった。だからもっと広く、みんなに知られて欲しかった。

いつか彼の残した音楽をテーマに、映像作品を作ってみたいと思っている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です