24コマの瞳

自分で動画を撮るようになってから、ドラマを観る時もストーリーより、に注意がいく回数が増えた。
とくにfpsが30なのか24なのか、違いが気になる。

fps【frames per second】とは「フレーム毎秒」の意味。
動画のなめらかさを表す単位の一つで、画像や画面を1秒間に何回書き換えているか、表したものだ。
たとえば30fpsの動画だと、1秒あたり30枚の静止画で構成されている。
約0.033秒(33ミリ秒)ごとに、画像を切り替えて再生するのだ。

テレビで放送される映像のほとんどが30fps。
ところが映画やアニメに使われるのは、昔も今も24fpsだ。

普段あまり気にしない人でも、ちょっと注意すればテレビと映画の質感の違いを、容易に識別されるはずだ。
数字から判断すれば、30fpsのクオリティが高いように思える。実際、物理的な能力に限ればその通りだ。
でも、いまだ映画が24fpsの方式をやめないのには、相応の理由がある。

人間の目が1秒間にとらえられる限界は、24コマだそうだ。だから24fpsには、動きが”自然に”流れていく感覚がある。
30fpsはより鮮明なようで、人間の生理からするに、意識にまでは上らない程度の負荷がかかるのかもしれない。
比較すれば30fpsのほうが鮮明と感じるのに、僕が好ましく感じるのは24fpsなのだ。

最近、後者で撮影したと思われるドラマ作品が増えてきた。
すごく雰囲気があって、より「エモい」映像が生まれる。

もちろん方式の違いばかりじゃなく、映像制作の志向自体も変わってきている。
人物など、背景をぼやかして奥行き感を強調する作りだ。

以前ならレンズに映るすべてのものは、広角でパースペクティブに、遠くのものまで明瞭に収めるのが主流だった。
今は必要のない背景は、ぼかして撮るのが一般的だ。これはレンズの明るさや望遠の有無など、いくつかの要素によっても変化する。
プロが撮る映像はこの意図に沿いながら、しっかり作りこまれているのだ。

今風の動画は、情報よりも雰囲気が優先になっている。雰囲気というより、感性というべきか。
進歩が必ずしも質の向上につながるとは思わないが、この一点に関しては断然、新しいもののほうに魅力を感じる。

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