さわやかな知恵

先週配ったチラシが、数通戻ってきた。
「あて所に尋ねあたりません 清水局」と、変な日本語が添えられている。意味は伝わるけれど。

ネットのタウンページをそのままコピペした住所だから、まず宛先として間違いはなかろう。
1週間前のチラシだし、廃業したか移転したにしろ、そう昔のことではないはずだ。
いずれにしろ、かつて営業していた店が今はないということだ。
ペットサロンとか自動車整備工場とか、簡単に閉店しそうもない(と、個人的には思われる)業態が含まれていた。

やっぱり景気、悪いんだろうな。

今日は娘が愛知に戻る。新幹線の停まる静岡駅まで送るため、連チャンで街に出る。
駅ビルや近郊のショッピングモールに寄ると、すでにシャッターが下りていたり、長く続いていたテナントが(明らかに賃料を下げたんじゃないかと思われる)小物店に変わっていたりした。
店内も、以前より明らかに暗い。節電のため、照度を下げているんだろう。
それがますます、うすら寂しい気持ちに拍車をかける。

日本、これからどうなっていくんだろう。

午前中は、息子も我が家に顔を出した。
スーツを着ている。今朝、転職先候補の最終面談があって、内定通知をもらったそうだ。
来年2月、研修を兼ね数年は東京勤務となる。当人は、かつて実家のあった千葉県習志野市近辺に住みたいという。
面白いもんだ。故郷を離れ清水に永住する自分に代わって、子供が里帰りするんだから。

娘を静岡まで送りがてら、4人で遅い昼食をとろうとなった。

娘の希望から、県外で食べられない「炭焼きレストランさわやか」静岡瀬名川店に入る。
すでに14時を過ぎていて、その割に車が多く停まっているなと一歩中に入ると、10名ほどの先客が順番を待っていた。

これには驚く。久しぶりに来たけれど、月曜日のこの時間帯に、広い店内が満席状態のうえ我々の後も入店が絶えないのだ。

次に順番がくる客たちに、カウンターの女性がお勧めメニューを紹介している。
待合席が空けばすかさずウェスで清拭せいしきし、手洗いの蛇口を磨いたりと、動きにまるで無駄がない。
社員教育が行き届いている。プロ意識が高い。

席に案内され、注文を終えると息子が水を一気飲みする。
すると、忙しいはずの店員さんがすかさずやってきて、ピッチャーの水をグラスに注いでくれる。
おそらくは人員削減の必要性から水はセルフという店が少なくない中、この気配りは群を抜いていると思う。

「さわやか」は静岡県のみに34店舗、ハンバーグに特化したファミリーレストランのスタイルだ。
業界の衰退が著しい昨今、一人勝ちの状態じゃなかろうか。
ハンバーグも他店では味わえない味と触感で、ランチだと1人1,000円前後で済んでしまう。

味もサービスも値段もよく、静岡のみという希少性まで条件がそろえば、繁盛するのもうなずける。
景気が悪いからだと、外部のせいにしていたってなにも始まらない。

流行はやる店には、それなりの理由がある。さわやかに真似れるところは、どんどん真似よう。
順番待ちのオーダー、そんな事業を僕も目指したい。

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